インチキ経済評論家を追放してください
2003年1月17日
宇佐美 保
私はとても不思議に思います。
森永卓郎氏のホームページには、御自身の経歴を“鰍tFJ総合研究所経済・社会政策部['02年〜]部長兼主席研究員 ”と明記されておられるのに、なぜテレビに出演される時には、この肩書きではなく「経済アナリスト」との肩書きを使用されるのは、何故なのでしょうか?
そして、今迄、“銀行に公的資本を注入すれば、そのうち銀行は国有化され、結局は「禿げ鷹ファンド」の餌食になってしまう。”と繰り返し発言されていました。
(最近では、「禿げ鷹ファンド」には、外国資本だけではなく、日本の勝ち組資本も加わっていると修正されています)
そして、“竹中プランを実行すれば、日本は、外国人や勝ち組に乗っ取られてしますのだ!”とまるでか弱い庶民の味方のような発言をされていました。
ところが、15日のニュース・ステーションに出演の際、「みずほコーポレート銀行などによる西武百貨店に対する約2300億円の債権放棄」に絡んで、
久米宏氏の“こんなことが何故許されるのか?”との森永氏への質問に対して、
森永氏は“銀行は、その方が得だと判断したのでしょう”と答え、
久米氏の“ならば庶民の住宅建設購入時の借金を銀行へ泣付けば負けてくれるのですか?”の問いには、
森永氏は“そんな事を銀行はしてくれません、「この世の中は、弱者が泣きっ面をかく慣わしだ」と言うことをよく認識することです”旨を平然と語っていました。
森永氏は、私達を馬鹿にしています。
「弱者が泣きっ面をかく慣わしだ」とおっしゃるなら、銀行が、又、日本が「禿げ鷹ファンド」の餌食になることを非難しないで下さい。
それに、少なくとも税金でサポートされている銀行が、その銀行だけの利益になるからだけの根拠で、赤字で再建の見込みのないような大企業への債権放棄は止めてください。
その債権放棄したお金で、沢山の中小企業が助かるのですから。
不良大企業への債権放棄が銀行にとっても本当に得なのですか?
「01年3月期に旧第一勧業銀行など取引金融機関から総額1050億円の債務免除を受け、5年間の再建計画に入っている経営再建中の準大手ゼネコンのハザマ(株価は10円台に低迷)は、またもや、主取引銀行のみずほコーポレート銀行などに1500億円規模の金融支援を要請する方向で調整している」とも新聞に書かれているではありませんか!?
更に、昨年11月23日の朝日新聞には、次のようにも書かれています。
巨額の金融支援を受けたマンション分譲・建設の主要4社の9月中間連結決算は、都市部でのマンションブームに陰りが出た影響を受けた。債務は軽くなったが、地価やマンション価格は弱含みで、再建の先行きは楽観できない。
大京は、4700億円の金融支援(うち債権放棄は4100億円)の効果で当期利益は突出したが、売上高と経常利益は前年同期を下回った。
過去に約3500億円の債権放棄を受け、さらに今中間期に約1500億円の債務を株式化した長谷工は減収減益。下期に完成する物件が多く、03年3月期は当期黒字化する見通しという。
外資ファンドのサーベラスから約1千億円の債権放棄を受けたダイア建設は、関連のマンション管理会社の貢献などで増収増益ながら、本業の分譲部分の実績は前年同期を下回った。
2度目の金融支援(2300億円)を受ける藤和は03年3月期で計上する2000億円の債務免除益を当て込み、保有不動産の再評価などで825億円の特別損失を計上。大幅な当期赤字となった。
(尚、藤和不動産は、99年3月期に主力行の旧東海銀行(現UFJ銀)や筆頭株主のフジタなどから約2900億円の債権放棄を受けています)
1兆円以上も私たちの預金から銀行は、不良ゼネコンに貢ぎましたが、その結果はどうなるのですか!?
この1兆円あまりを昨年倒産した中小企業(約2万件)に融資すべきではなかったのでしょうか?
(1兆円を2万件に均等配布すると、1軒当たり5千万円となります)
私には、「今の日本の銀行幹部の行動は、自己保身を画策しているだけ」としか思えません。
従って、鰍tFJ総合研究所部長兼主席研究員であられる森永氏は自らの素性を隠蔽しているのでしょう。
更に、森永氏は、“小泉首相が、これからはインフレになりますと言えさえすれば、日本はインフレになり全て目出度し目出度しになる”と常々ほざいていました。
なのに、“日本人は沢山預金していてそのお金を使わないからデフレになっている。従って、預金に税金をかける手段だってある”とも言っていました。
ところが今では、小泉首相は“経済対策としてのインフレ政策が必要”とまで言い出しています。
更には、昨日のテレビでは、郵政懇談会メンバーの一人慶応大学の池尾和人教授(だったと思います)は、“日本をインフレに導く為に、日銀はこれからはドンドンお札を刷るべきだ”その上、“それでも駄目なら、預金に税金をかけるべきだ”とさえ語っていました。
一体この方々は、庶民を何故愚弄するのですか?
日銀のホームページで見れば判りますが、日本人の個人の預金額は2001年3月末のデータでは、297.1兆円です。
そのうち、300万円以下の預金は、132.2兆円(個人預金の44.1%)、300〜1000万円以下が、77.5兆円(26.1%)です。
従って、1000万円以下の貯金が個人預金の70.6%を占めているのです。
この1000万円以下の預金は、大金持ちの預金ですか?
多分庶民が、いざと言うときの為に蓄えている大切な預金だと思います。
何故庶民をいじめるのですか?
(尚、1億円以上の預金は、7.7兆円(2.6%)です)
せめて心ある方々は、1億円以上の預金に税金をかけようとおっしゃるのなら少しは理解できます。
(しかし、このようにしてもそのお金はどこに行きますか?
慶応大学の榊原教授の語るように、市場にお金が溢れてもその行き先はなく、またもや、土地と株に投資されバブルの二の舞となるのではありませんか?)
こんな姑息な手段をとらずに、やはり小泉首相は初心を貫徹して構造改革に取り組むべきです。
そして、そのように小泉首相の首根っこを押さえつけてでも仕向けるべきと存じます。
インターネットを見ますと、“「渋沢栄一」教材研究2002.1.23 板橋区小学校社会科研究部 研究授業資料より”には、次のように記載されていました。
(日本の銀行の父でもある渋沢栄一氏は、「道徳的規範を持たないまま近代資本主義社会になだれ込んだ場合、弱肉強食の世界が現出することを感知し、恐れたがゆえに、事業家の人格的完成を最大の徳目としたのである」佐野真一著『渋沢家三代』(文春文庫)と書かれています。
私たち日本人は全て、この渋沢栄一氏の言葉を思い起こすべきと存じます。
(なのに、自民党政務調査会会長麻生太郎氏は、昨日テレビで“政治は「道楽」いや間違えました「道徳」です”とだらけていました。呆れてしまいますね、こんな人が次の首相候補ですか?)